「介護施設や病院を運営する複数の法人を一体的に経営する非営利のホールディングカンパニー(持ち株会社)型法人」について

先日のニュースで厚労省が「介護施設や病院を運営する複数の法人を一体的に経営する非営利ホールディングカンパニー持ち株会社)型法人」について議論することを目にしました。

 

 

 

持ち株会社型法人で介護施設や病院の経営を効率化、厚労省が制度を提案

 

http://www.joint-kaigo.com/social/pg523.html

 

厚労省資料

 

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000031418.pdf

 

 

 

最初聞いたときには、「なんだか突然、医療の民営化(アメリカ化)な感じが・・・きっと規制改革委員会の仕向けたもので厚労省は嫌々出しているのだろう(たぶんぽしゃるだろう)」とか勝手に妄想してスルーしていましたが、どうやらちょっと違ったようだなーということに気づいて、誰かと議論したくてシェアします。

 

 

 

どうやら話の出は岡山からのようです、上記の厚労省の報告書には「岡山」とは一言も触れていないように思いますが、、、

 

 

 

 ●非営利の新型医療法人構想 森田岡山大学長が説明

 

http://iryo.sanyo.oni.co.jp/news_s/d/c2014032912240399

 

●大学病院、市民病院、日赤等を統合したメディカルセンター構想

 

http://medicalcarenews.net/2014/04/01/10404

 

●官邸にも資料あり

 

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/iryou/dai7/siryou1.pdf

 

岡山市もがっちり乗っかってきている証拠に岡山市にも資料あり

 

http://www.city.okayama.jp/contents/000082753.pdf

 

 

 

 

 

総論的には、 

 

 

 

「岡山、広島では基幹病院(大学病院、県立病院、日赤、国立医療センターなど)を統合し、医療資源(人や機器)の集約化と連携による手厚い医療提供体制の構築を検討」

 

 

 

だそうです。

 

 

 

 

 

これは都会(東京周辺、大阪など)の人には理解できないかもしれませんが、田舎(県に1つの国公立大学しかない)の医者の多くが感覚的になんとなく理解できることでは?と思います。

 

例えば、仙台市内にも、市立病院に始まり、日赤やら国立病院やら社会保険病院やら労災病院やら、ってゆーか全部公立みたいなもんだろー!という病院がたくさんあります。

 

おそらく他の中規模以上の市(特に県庁所在地)は同じような状況でしょう。

 

しかも、大学が1つとなると、どの病院の人事も大学の医局からの派遣なので、人事の面では要は大学の附属病院状態です。

 

しかし病院内の決定(小児科を重視するとか、新しいMRIを購入するとか)は、各病院内(orその法人の本部)のものでしょう(もちろん大学も影響力はあるでしょうが決定権は無い。人事はおおむね決定権は大学)。

 

一方、微妙な規模の病院がたくさんあっても、資源が分散してぱっとしません(例:救急の受け入れ)。全てを1つに集約したほうが効率良さそうです。

 

 

 

 

 

というような思想に基づいている気がします。

 

まぁ市としても市立病院はお荷物的な感じでしょうから、大学が面倒見てくれるならよろしく、ってお願いするのも容易に想像ができます。

 

済生会や日赤などの法人がどう対応するのかは気になるところです。

 

また、物理的な集約場所をどこにするのか?というのも注目すべきところでしょう。

 

日本は元来広く浅く医療を広めてきているので、医療の集約化はかなりのパラダイムシフトだと思います。

 

今近所にある病院がしょぼくなるとなると周辺住民からの反対運動は必発でしょう。

 

所属する被雇用者の雇用形態はどうなるのでしょうか?(非営利ホールディング社員でしょうが、医師以外含めて給与などはどうやって決める?待遇が低下する病院のいる雇用者は反対するでしょう)など各論ではいろいろもめそうです。

 

完全に独占状態になりうるので(強力な私立病院があれば別ですが)、競争の原理が働かず、サービスの質などが低下してもなかなかフィードバックがかからないかもしれません。利用者の支払いは診療報酬ベースなので直接の利用者負担は増えなくても、組織がコスト高体質になる(結局税金に跳ね返るので住民が負担)可能性もあります。周辺私立病院は更に経営が厳しくなるかもしれません(→更なる影響力の拡大)。

 

岡山大学は大丈夫でしょうが、大学に人が集まらなくなったら、岡山の医療が全て終わってしまいます。もっと人口の少ない田舎の国立大学がこれをやるとこれが起こりうると思います。秋田や鳥取や大分とか?実際O大学の外科の教授はずっと空位で募集し続けていますし・・。

 

岡山市だけではなく、周辺の市町村にも大きな影響がある気がします。

 

臨床研究の面からも、統合していただいた方が、とても質の高い研究ができるようになり良いと思います。

 

いろいろ考えると、いわゆる旧帝大や旧6(新潟、岡山、広島、熊本とか?あぁつまりほとんど政令市になれている県庁所在地か。弘前はどうでしょうかねー)などがやったらうまくいく気がします(そうじゃ無いところはリスクが大きいかも?)

 

 

 

ということで、地方都市におけるの医療の集約のトライアルな気がします。地方都市に住みたい(ってゆーか住んだことが無いw)人間としては、今後注視したいところです。